米国株市場の2025年1月の振り返りと、2025年2月の見通し、注目イベント、投資戦略についてご紹介します。
本記事では、これらの3つのポイントを詳しく解説します。
2025年1月の米国株市場は?
2025年1月の米国株式市場は、ダウ工業株30種平均、S&P500、ナスダック総合株価指数という主要3指数が揃って上昇するという結果となりました。月間ベースでは、ダウ平均が前月比4.6%高、S&P500が2.7%高、ナスダック総合が1.6%高と、堅調な推移を示しました。
しかし、この上昇は一筋縄ではいかない展開でした。まず、市場予想を大幅に上回る雇用統計が発表されたことで、米連邦準備制度理事会(FRB)による利下げ期待が後退し、市場は月半ばまで弱含みの状態が続きました。投資家の間では、利上げが継続される、もしくは利下げが遅れるという懸念が強まりました。
転機となったのは、15日に発表された米消費者物価指数(CPI)です。市場予想とほぼ一致した結果となり、インフレ懸念が和らぎました。さらに、20日には第2次トランプ政権が発足。新たな政策への期待感から、市場心理は大きく変化し、3指数は揃って上昇に転じました。トランプ政権の経済政策への期待感が、市場のセンチメントを押し上げたと言えるでしょう。
しかし、市場の楽観ムードは長くは続きませんでした。27日、中国の新興企業DeepSeekが低コストの生成AIモデルを開発したことが発表されると、米テック株を中心に急落が発生。「ディープシークショック」と呼ばれるこの出来事は、AI技術開発における競争激化と、それに伴う米テック企業への潜在的な脅威を示唆しました。
このショックにもかかわらず、市場全体が悲観に包まれることはありませんでした。ダウ平均株価を中心に、月末にかけて値を回復させる展開となりました。これは、市場参加者がDeepSeekショックを一時的な出来事と捉え、長期的な成長への期待を維持したためと考えられます。
しかし、1月の最後の取引日である31日、トランプ政権がメキシコ、中国、カナダへの関税を課すと発表したことで、状況は再び変化しました。この発表は、投資家のリスク回避姿勢を強め、市場に売りが広がる結果となりました。保護主義的な政策への懸念が、市場のセンチメントに悪影響を与えたと言えるでしょう。
このように、1月の米国株式市場は、雇用統計、CPI、トランプ政権の発足、DeepSeekショック、関税発表など、様々な要因が絡み合い、複雑な動きを示しました。これらの出来事は、市場の不確実性を改めて浮き彫りにしたと言えるでしょう。
2025年1月のS&P500セクター別騰落率を見ると、「コミュニケーションサービス」、「ヘルスケア」、「金融」セクターが顕著な上昇を示しました。一方、「情報技術(IT)」と「エネルギー」セクターは大幅な下落となりました。セクター間の明暗が分かれた結果、市場全体の動向に複雑さが加わったと言えるでしょう。
このセクター別の値動きは、様々な要因が複雑に絡み合った結果であると考えられます。例えば、「コミュニケーションサービス」セクターの上昇は、新たなデジタルサービスへの需要の高まりや、既存サービスの安定的な成長を反映している可能性があります。「ヘルスケア」セクターの上昇は、高齢化社会の進展や医療技術革新への期待感などを背景としていると考えられます。また、「金融」セクターの上昇は、米連邦公開市場委員会(FOMC)の政策金利据え置き決定を受けて、金融市場への信頼感が回復したことを示唆している可能性があります。
一方、「情報技術(IT)」セクターの下落は、「ディープシークショック」の影響が大きいと推測されます。中国企業による低コストAIモデルの開発は、米国のIT企業の競争優位性を脅かす可能性を示唆し、投資家の懸念を高めたと考えられます。「エネルギー」セクターの下落は、原油価格の変動や地政学的リスクの高まりなどが影響している可能性があります。
29日に開催されたFOMCでは、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標が4.25~4.5%に据え置かれ、市場の予想通りとなりました。これは、FRBがインフレ抑制を最優先課題と位置付けていることを示唆しています。しかし、CME FedWatchツールによると、6月のFOMCで政策金利が0.25%引き下げられる確率は47%と、利下げ期待が完全に消滅したわけではありません。市場参加者の多くは、3月と5月の会合では金利据え置きを見込んでいるものの、今後の経済指標次第では利下げに転じる可能性も残されていると言えるでしょう。
このように、1月の米国株式市場は、セクター間の値動きに大きな差が見られ、市場全体の動向を予測する難しさを改めて示しました。今後の市場動向を予測するには、マクロ経済指標の推移、地政学的リスク、各セクターの業績、そしてFRBの金融政策動向などを総合的に分析する必要があります。
パウエル議長は、経済の不確実性を高める要因として「関税」、「移民」、「財政政策」、「規制」を挙げました。根強いインフレ懸念が続く中、トランプ2.0政権下でのこれらの政策動向を注視することが重要です。
30日に発表された2024年10~12月期の米国内総生産(GDP)は前年同期比2.3%増と、市場予想をわずかに下回りましたが、潜在成長率である2%を上回り、米経済の堅調さを示しています。
特に、GDPの約70%を占める個人消費が4.2%増と3か月連続で伸びが加速しており、消費者の信頼感が高まっていることが伺えます。このような経済指標は、今後の政策決定に影響を与える重要な要素となるでしょう。
2025年2月の見通しは?
2月の米国株式市場は、トランプ2.0政権下での関税政策を背景に先行き不透明感が強まり、不安定な展開が予想されます。トランプ政権は2月4日から初の関税引き上げを実施し、欧州連合(EU)向けの追加関税や半導体など特定品目への関税引き上げも検討中です。
これらの関税は、GDP、雇用、消費にネガティブな影響を及ぼす可能性があり、株式市場では値動きが荒くなるリスクがあります。 一方で、企業業績に目を向けると、1月31日時点でS&P500構成企業の36%が2024年第4四半期の決算を発表し、1株あたり利益(EPS)では77%、売上高では63%がポジティブサプライズを記録しました(出所:ファクトセット)。
これにより、企業の収益力が市場に対して一定の支えとなることが期待されますが、関税政策の影響がどのように波及するかが注視されるでしょう。
※EPSとは「Earnings Per Share」の略で、企業の収益力と成長力を評価する指標の一つです。1株あたりの利益を示し、数値が高いほど企業の収益力が高いと考えられます。
注目イベントや投資戦略
パウエル議長は、追加利下げを行うにはさらなる物価鈍化のデータが必要だと述べており、今後の物価指標に注目が集まります。
12日に米消費者物価指数(CPI)、13日に生産者物価指数(PPI)、28日に個人消費支出(PCEデフレーター)の発表が予定されています。
また、3日のISM製造業景況感指数、5日のISM非製造業景況感指数、7日の雇用統計、14日の小売売上高、19日のFOMC議事要旨など、他の経済指標も重要な焦点となります。
日付 | 経済指標 | |
その他 | 2月3日 | ISM製造業景況感指数 |
その他 | 2月5日 | ISM非製造業景況感指数 |
その他 | 2月7日 | 雇用統計 |
物価指標 | 2月12日 | 米消費者物価指数(CPI) |
物価指標 | 2月13日 | 生産者物価指数(PPI) |
その他 | 2月14日 | 小売売上高 |
その他 | 2月19日 | FOMC議事要旨 |
物価指標 | 2月28日 | 個人消費支出(PCEデフレーター) |
ディープシークショックの影響で、一部のハイテク株や電力株は依然として冴えない展開が続いています。しかし、ブルームバーグの調査によると、回答者の約9割がディープシークの低価格AIモデルが今後数週間の米大手テクノロジー株にほとんど、または全く影響しないとの見方を示しています。
また、調査回答者は依然として米株式に楽観的であり、年末までに同指数が6,500に達すると予測しており、これは1月31日終値から7.6%高となる水準です。
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