NISAとは、株式などの投資を通して得た利益が非課税となる制度のことで、少額で投資する個人投資家を支援されるための制度として設立されました。
通常であれば投資信託や株式投資で得た利益には20.315%の税金が課されて総利益から税額が差し引かれるのです。
ですがNISAを利用することにより、課税が免除されて確定申告の必要もありません。
これまで投資初心者や手軽に投資を始めたいと考えているのであれば、オススメの制度と言えます。
そこで今回は、投資初心者へ向けて現行NISAと新NISAについて解説していきます。
現行NISAと新NISAの違いとは?
現行NISA【2023年まで】
つみたてNISA | 一般NISA | ジュニアNISA | |
年間投資枠 | 40万円 | 120万円 | 80万円 |
---|---|---|---|
非課税保有期間 | 20年 | 5年 | 5年 |
非課税保有限度額 | 800万円 | 600万円 | 80万円 |
制度開始 | 2014年1月~ | 2018年1月~ | 2016年4月~ |
投資対象商品 | 長期の積立と分散投資に適する投資信託 (金融庁の基準を満たした投資信託に限定) |
上場株式・ETF 公募株式投信・REIT等 | 一般NISAと同じ |
対象年齢 | 20歳以上 | 20歳以上 | 20歳未満 |
現行NISAは2014年から始まっていましたが、一般NISAは2023年、つみたてNISAは2042年までの期限が設けられています。
そのため、現行NISAを活用している投資家は短期的な視野で投資戦略を立てる必要がありました。
ですが2024年から始まる新NISAでは、この制度が恒久化されて長期的な資産運用が可能となった上で、ジュニアNISAは廃止され、投資の選択肢は「つみたて投資枠」「成長投資枠」の2つに変更されます。
新NISA【2024年1月〜】
つみたて投資枠 | 成長投資枠 | |
年間投資枠 | 120万円 | 240万円 |
---|---|---|
非課税保有期間 | 無期限 | |
非課税保有限度額 | 1,800万円:つみたて投資枠・成長投資枠の合計 (成長投資枠はその内1,200万円を上限) |
|
口座開設期間 | 恒久化 | |
投資対象商品 | 長期積立・分散投資に適した一定の投資信託 (つみたてNISAの対象商品と同じ) |
上場株式・投資信託等(一部リスク性の高い商品を除く) |
対象年齢 | 日本在住の18歳以上の人(口座開設する年の1月1日時点) |
新NISAとは、一定の条件下において口座開設ができ、非課税期間も無期限に延長されています。
年間投資枠についても拡大され非課税保有限度額の増加など、投資家にとって有利な条件が改善されています。
新NISAの「成長投資枠」とは?
現行NISAの「一般NISA」 | 新NISAの「成長投資枠」 | |
構成 | つみたてNISAと併用不可 | つみたて投資枠と併用可 |
非課税保有期間 | 5年間 | 無期限化 |
口座開設期間 | 2023年まで | 恒久化 |
年間投資枠 | 120万円 | 240万円 |
非課税保有限度額 | 600万円 | 1200万円 |
投資対象商品 | 上場株式・ETF 公募株式投信・REIT等 | 上場株式・ETF 公募株式投信・REIT等 (整理・監理銘柄、信託期間20年未満、毎月分配型の投資信託及びデリバティブ取引を用いた一定の投資信託を除く) |
新NISAの「成長投資枠」は、今までの一般NISA枠を踏襲する形となっており、上場株式や投資信託など幅広い金融商品への投資ができ、投資家のリスク許容度に応じた高いリターンを目指せます。
多様な金融商品に投資したい人や、大きな資金での投資を今後やっていきたい人にオススメです。
年間の非課税投資枠が120万円から240万円へと拡大されており、非課税期間が無期限に延長されたこととなっています。
成長投資枠では、つみたてNISAへの対象商品への投資も可能となっており、非課税保有上限は1,200万円となっています。
新NISAの「成長投資枠」においては、長期資産形成に適していないとされる投信や、一部のデリバティブ取引を用いた投資信託など特にリスクが高いものが除外されています。
投資対象となる商品が以前より絞られますが、投資初心者に優しく、長期的な資産形成を目指す目的となっています。
新NISAの「つみたて投資枠」とは?
現行NISAの「つみたてNISA」 | 新NISAの「つみたて投資枠」 | |
構成 | 一般NISAと併用不可 | 成長投資枠と併用可 |
非課税保有期間 | 5年間 | 無期限化 |
口座開設期間 | 2023年まで | 恒久化 |
年間投資枠 | 120万円 | 240万円 |
非課税保有限度額 | 600万円 | 1200万円 |
投資対象商品 | 長期の積立と分散投資に適する投資信託 (金融庁の基準を満たした投資信託に限定) | 長期積立・分散投資に適した一定の投資信託 (つみたてNISAの対象商品と同じ) |
2024年から現状のつみたてNISAが新NISAの「つみたて投資枠」として引き継がれ、2023年までのつみたてNISAと変更なしとなっています。
つみたて投資枠のファンドは、以下のような条件で指定されています。
- 販売手数料がゼロ(ノーロード)
- 運用管理費用が一定水準以下(例:国内株のインデックス投信の場合は0.5%以下)
- 信託契約期間が無期限または20年以上
- ヘッジ目的等の特定の場合を除き、デリバティブ取引による運用を行っていないこと
さらに、新NISAの「つみたて投資枠」では、年間投資額が現行制度の3倍の120万円に増額され、これによって投資枠はより多くの資金を運用されています。
新NISAのメリットとは?
新NISAのメリットのポイントを5つを紹介していきます。
成長投資枠とつみたて投資枠の併用ができる
現状のNISA制度では、一般NISAとつみたてNISAは併用不可となっており、投資家はどちらか一つを選択しなければなりません。
また制度の切り替えは年に一度だけで、NISA口座での買い付けがない状態でのみ可能となっています。
新NISA制度では成長投資枠とつみたて投資枠を併用するとことができるので、投資家がこれまでより柔軟な投資戦略が選択可能となっています。
年間投資枠の拡大され合計360万円まで投資可能
現状のNISA制度では年間投資枠は40万円のつみたてNISAと120万円の一般NISAの間で選択する必要がありましたが、新NISAではこの制度が解除されています。
「つみたて投資枠」は年間120万円までの投資ができ、特に積立や分散投資に適しており、「成長投資枠」で年間240万円までの投資ができ、上場株式なども含まれています。
年間投資額の上限は合計360万円となっており、現行の一般NISAと比べて3倍に拡大されています。
生涯投資上限の大幅拡大
新NISAでは、生涯非課税限度額という新しい仕組みが導入されており、投資家は生涯で最大1,800万円までの金融商品購入となっています。
上限額は、年間非課税投資枠とは異なっており、投資信託などの買付金額を基準に設定されています。
現行のNISAでは、一般NISAの実質的な投資上限金額は5年間で合計600万円、つみたてNISAでは20年間で合計800万円となっていました。
新NISAでは生涯投資上限の導入となっており、既存の制度と比較して、多くの投資家にとって大きなチャンスを掴む可能性が増えています。
非課税運用期間の無期限化
現行のNISAでは、非課税運用期間が一般NISAで5年間、つみたてNISAで20年間と制限されており、投資家はかなり考えて運用する必要がありました。
新NISAでは、この非課税運用期間が無期限になっており、成長投資枠およびつみたて投資枠の両方に適用され、投資家は長期的に考えやすくなります。
売却した翌年に非課税枠が回復
今までの一般NISAでは、毎年最大120万円までの非課税投資枠が設定され、いつでも金融商品の払出しや売却が可能となっています。
ですが払出しや売却を行った際、対応する非課税投資枠は5年間の非課税期間が終了するまで再利用できませんでした。
新NISAの制度では、年内に購入した金融商品を売却した際、その「生涯投資上限金額」の枠が翌年以降に再利用可能となります。
新NISAでは、取得価額ベースで最大1,800万円までの保有が可能で、売却回数に制限はありません。
ただし、回復する投資枠の金額は売却額ではなく、購入時の金額(簿価)を基準とする点に注意が必要です。
コメント